オルガンのためのトリオ・ソナタBWV527

私はトリオ・ソナタが大好きだ。とりわけ好きなアンサンブル形態の1つといっても良い。バロック時代を席巻した合奏手法として、いわゆるコンチェルト・グロッソー合奏協奏曲なんかが人気だけれど、私は二声と通奏低音のシンプルなトリオソナタを推したい。

 

トリオソナタで有名なのはまずJ.Sバッハの「音楽の捧げもの」BWV1079に収録されているものだ。バイオリンとフルートと通奏低音のこの単純な構成が、いかに広大な宇宙を作り出しているだろう。この曲に関しての考察は先達がたくさん残しているので割愛する。

 

「音楽の捧げもの」が生まれた晩: バッハとフリードリヒ大王

「音楽の捧げもの」が生まれた晩: バッハとフリードリヒ大王

 

 

さて、ほかには大バッハの次男C.P.Eバッハがたくさんこの編成で曲を残している。

特にロ短調Wq.143なんてもっと知られていいと思っている。

出だしから寂寞感に溢れ、隙間を埋めるのに満たされない。なんて哀しく美しい曲なんだろう。

 

さて本題に入る。そんなトリオソナタを、なんとJ.Sバッハはオルガン一台でやってのけてしまった。斬新な試みである。長男ヴィルヘルム・フリーデマンの教育のためとか言われているようだけど詳しいことは分からない。

 

バッハは1727年から32年にかけて6曲のオルガンのためのトリオソナタを作曲した。

その中の3曲目、BWV527のニ短調が私は愛しくて堪らない。最初の下降音形からもうため息が漏れてしまう。オルガンで書かれた原曲も勿論素晴らしいのだけど、あまりに綺麗な曲なのでみんなして従来のトリオソナタで再編成している。最近何かと騒がれている若手チェンバリストのジャン・ロンドーが通奏低音を弾いている演奏をここに貼って、締めとしたい。

 

自転車泥棒(呉明益) あるいは遠回りする形見

その本は年々縮小していく、家から一番近い本屋の海外文学のごく小さな棚の片隅に佇んでいた。

おそらく刊行された昨年の秋に新刊として仕入れたものがそのまま中国文学のコーナーに移されたのだろう。周りの本と比べ幾分か厚かった。

基本的にアジア文学というものを読んでこなかったので、呉明益という作家を知ったのはたまたまだった。年明けに匿名で教えていただいたのだ。もっとも、その時勧められたのは『歩道橋の魔術師』の方だったが。

というわけで新年から存在に気づいていたものの、何となく手が出せずにいるまま4ヶ月弱が過ぎた。4月の末に、「元号も変わるし最後に本屋に行っておくか〜」と軽い気持ちで前述の書店へ繰り出すと、相変わらずその本は同じ場所に鎮座していた。休職中の上に断捨離中だったので、新しいものを増やすつもりは毛頭なかった。

 

 

自転車泥棒

自転車泥棒

 

 

…はずだったのに、数頁立ち読みしてこれは私の読むべき本だという本からの囁きをうっかり聞いてしまい、めでたく『自転車泥棒』は私の平成最後の読書のお供になったのだった。

 


これは一人の中年男性の話であり、失踪した父親を巡る家族の喪失と再生の年代記であり、自転車の歴史の話であり、戦争に巻き込まれた台湾人兵士や動物の物語であり、自転車を通して点在する見ず知らずの人間たちを繋げていく話であった。

 

ざっくり言えば、自転車とともに20年前に失踪した父親の影を、彼自身ではなく自転車の辿った道をなぞることで捉え直そうとする息子の話である。

近しい人だからこそ言えない不満や哀しみを飲み込んでしまい、隠すことでしか人と付き合えない人はいる。主人公の父親は、何も言わずにある日いなくなってしまう。

終盤に、非常に胸打たれた台詞がある。

 

 

「私はこう考えています。彼やお父様のような人はどうやら、つい、なにかのはずみで、自分の手元に残してあったものを手放してしまう。でも、あなたのお父様が最後にどんな選択をしたとしても、なにか別のものを、やっぱり最後、自分の身辺から断ち切ってしまう人だと思います」

 

 
自分に連なる全てを断ち切ったものの、自転車だけは連れて行った父親。自転車さえ戻って来れば、アンバランスな家庭が元に戻るのでは、と希望を持つ主人公。

それにしても出てくる自転車たちの描写のなんと魅力的なことか。そして、戦前から戦後にかけて富の象徴であった自転車のよく盗まれること!

 

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なぜこの小説が「私のための本」に思えたのか。それは過去に私も大切な自転車を盗まれたことがあるからだ。と言っても、それは私の自転車ではない。

 


ある日ふっとこの世に別れを告げた友人は、何故か自転車を大学の駐輪場の定位置に置きっ放しにしていた。自転車ごと失踪した主人公の父親とは正反対に、彼はこの世界に一つ置き土産を残してくれた。突然の別れに途方に暮れて我を失いかけていた私には、見慣れたミントグリーンの自転車がまるで彼の残り香のように思えたのだ。以来、人目を忍んでは自転車を彼の墓標のように詣でていた。今思うと滑稽な話であるが、それぐらい、自転車というのは持ち主の魂があたかも憑依しているかのように感じさせられる瞬間がある。

 

ただ、そんな自転車も、ある日チェーンを切られ盗難されてしまった。

 

当時は身も世もなく悲しんだが、反面まあ世の中うまくできているなとも思った。いつまでも遺物にしがみついていたら、きっとままならなくなってしまうだろうから。

 

時同じくして私も大学を卒業し、色々あって当時住んでいたところから故郷に帰ったので、もう街であの自転車に出くわすことはないだろう。

ただ、時折あの輝かんばかりに明るい水色の自転車を想うことがある。

願わくば、鉄屑にされずに都内のどこかを、出来れば景観の良い道なんかを風を切って走っていてほしい。

 

 


そうしていつの日か私の前に現れてくれたら、その時は彼の辿ってきた長い旅路についてゆっくりと遡っていきたい。

 

 

 

 

 

ご挨拶と今年やりたいこと70ちょっと

ハスキルと申します。人生で何回目か忘れましたが懲りずにブログ始めました。ハスキルとは敬愛するピアニストのお名前から拝借しました。 

好きな作曲家はバッハ、シューマンシューベルトエルガーブラームスです。

好きな作家は福永武彦堀江敏幸、タブッキ、ヘッセ、三島由紀夫など。そして何より須賀敦子を心からお慕い申し上げます。

 

さて、突然ですが…

 

 

森の情景より終曲「別れ(Abschied)」です。

いや初回から別れかよ…と思われるかもしれませんが、森を去って元の場所に戻っていくことを示唆する曲です。だからまあ、逆もまた然りで日常から少し別れを告げようという意図です。

 

さて、ものぐさなのでこの間noteに投稿した、今年やりたいことリストをコピペします。

 


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今年やりたいことを忘れないようにリストアップしておきます。残り7ヶ月にちなんで70個取り敢えず挙げておく。

 


■2019年にやりたいこと

1.ズッキーニと夏ナスのポタージュを作る(夏ナスってなんだ…?)

2.秋の基本情報技術者試験に合格する

3.ずっとやりたかったハーレクイーン全タイトルスクレイピングをできるようにする

4.2ヶ月に1回はコンサートに行く

5.小説を月2冊、技術書を月1冊読む

6.スペイン語の初級文法を終わらせる

7.簡単なスペイン語で書かれた本(絵本でも可)を読み切る

8.お盆休みに国内の行ったことのないところへ行く

9.月に決まった額貯金する

10.ペーパーにならないように月1で家の車を運転する

11.弁当は自分で作るサイクルにする

12.名古屋で美味しいタコライスを出すお店を見つける

13.コーヒーを淹れられるようになる

14.ゴボウのポタージュを作る

15.自己開示できる領域を増やす

16.ロイヤル英文法の例文暗記する

17.TOEIC800点取る

18.英語版『風の影』を読み切る

19.週1回部屋を片付ける

20.いつか使うかも一時的箱の中身を処分する

21.煮卵を作る

22.魚を捌けるようになる

23.読んだ小説のアウトプットをする

24.毎晩きちんとスキンケアをする

25.人への感謝をきちんと言葉にする

26.感情をきっちり認識する

27.衝動買いしない

28.progateのpythonを終わらせる

29.格好つけない

30.これだ、と思うブランドを見つける

31.祖母風ナポリタンを伝授してもらう

32.月に一本映画を観る

33.なに食べレシピの主菜を5つはコピーする

34.名古屋市内の近代建築を観る

35.秋には紅葉を見に行く

36.山に登る

37.FP3級のテキストを通読する

38.パンを一回焼く

39.ラムの勉強をする

40.毎日エアロバイクを漕ぐ

41.週3回ウォーキングをする

42.Don't stop me nowを歌えるようになる

43.Magic Waltzの最初の2段を暗譜する

44.喫茶店開拓

45.動物園でゴリラを見る

46.ポタージュスープのレパートリーを5つは持つ

47.シューマンの歌曲に馴染む

48.HTMLとCSSを終わらせる

49.C言語の本を通読して書かれているものをアウトプットする

50.トロトロ赤ワインビーフシチューを作る

51.チェスで1ゲームできるようになる

52.そのためにチェスのルールを把握する

53.しまさんのレシピのチョコムースを作る

54.LINE botを1つコピペでも良いから作る

55.さらば愛しき女よを読む

56.ベートーヴェン弦楽四重奏に手を出す

57.バイオリンで音階とバッハはやる

58.堀江敏幸の小説も読む

59.黒の過程を読む

60.ハドリアヌス帝の回想を読む

61.引き続き毎日病めるときも健やかなときも日記を書く

62.pythonスクレイピングの本を読む

63.ボルタリングを一回やる

64.葬送を読み終わる

65.ヴェデルニコフについてまとめる

66.和声の勉強する

67.和声と楽式のアナリーゼを読む

68.青椒肉絲、回鍋肉、麻婆豆腐を完全にレパートリーに組み込む

69.無駄な夜更かしをしない

70.その日良かったことを3つ挙げるようにする

71.9月のQC検定2級に合格する

72.1日10個スペイン語単語覚える

 

意外に70個出せるものだな…それにしても食に偏りすぎてる節はあるけれども。

 

 

 

(追記)

後からどんどん思い出して70個は超えました。まあいいや。

 


(追追記)

1日10個単語覚える系など、すでに達成が危ぶまれているものもありますが、まあ何らかの成果が得られれば…line bot作るのとか早くも心折れそうにはなっていますが……