森の入り口

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2019年に観た映画振り返り(自宅編)

映画館で観た作品についてはこちら

取り零しがあるのは承知で、記憶に残った作品たちを。

 

1.ノッティングヒルの恋人 

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ロマンスっていうのはこういうのを言うんだろうなというぐらい夢のような恋の物語。『イエスタデイ』でも思ったけど、この監督の作品って30過ぎぐらいの家族みたいに仲の良い親友グループみたいなのがよく出てくるような。とにかく素朴というには垢抜けすぎてるようなヒュー・グラントが格好良すぎる。最後の記者会見のシーンなんて観ているこっちまでどきどきする。

 

2.ノートルダムの鐘 

昨年から名古屋で劇団四季ノートルダムの鐘」がやっていて、二回観に行った。ノートルダムは小さい頃毎日のように家でビデオを流していたらしく、カジモドが手製の木彫り人形で夢見る場面や終盤のエスメラルダを炎の中から救うシーンなんかは朧げに覚えていたものの、大体忘れ去っていた。そして四季を観た後に思っていた話と筋が違うな、と思い映画の方を見直したら虜になってしまった。

まず吹替の当時の四季の面々が素晴らしい…石丸幹二歌うカジモドの「僕の願い("Out There")」にあまりにはまって2019年はほとんど毎日口ずさんでた。

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物語の前口上と締めでのクロパンの役どころも非常に魅力的。ヒロインのエスメラルダも、彼女と恋に落ちるフィーバスもその運命に納得できる。カジモドが街の人々に受け入れられたときにOut Thereがかかるのは何度観ても泣ける。

映画もミュージカル版もユゴーノートルダム・ド・パリを下敷きにしているものの、結末は大きく違う。フロローこそが"怪物"だったというのが前者で、後者は両者結局救いようのない終わり方をする。難解と言われるユゴーの原作も読まなきゃなと思うなど。

 

二度目の観劇の一週間後、ノートルダム大聖堂の火事の報道を聞いた。

 

3.ピーターラビット

平成最後の日に観たので一生忘れないかもしれない。妙ちきりんな話だった。ピーターラビットがあそこまで表情を変えてくると流石に愛らしく見えてくるな。うん。

 

4.博士と彼女のセオリー

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エディ・レッドメインが大好きなので……。スティーブンとジェーンの出会ったパーティとかケンブリッジの雰囲気がとても好き。エディの演技は迫真でただ動作がとかだけではなくいちいち表情や視線の動かし方があまりに自然体だった。若い二人の恋から始まった愛の色合いが時を経るごとにどんどん変わっていくのが切ないと同時にこういうものなんだろうなとも思う。聖歌隊指導のジョナサンとジェーンが心を通わしていく場面は特に美しかった。

 

5.シェルブールの雨傘

ミシェル・ルグランの音楽がとにかく良かっっっっった!I will wait for youを聴くだけでこの映画のストーリーや別離の哀しさが思い浮かぶ。

カトリーヌ・ドヌーヴはこの映画でブレイクしたそうだけど可愛すぎて妖精のようだった。前に遠距離恋愛なるものを一年ぐらいしていたのでジュヌヴィエーヴが実体の掴めないギィに対してどんどん不安を募らせる辺りで胸にくるものがあった。ラストシーンの吹雪のガソリンスタンドのシーンが素晴らしくて、それぞれの子供の名前がわかった時にはゾッとするほど良かった。

 

6.寝ても覚めても

軽く振り返ろうとしていたのに感情が逆流したので別個で振り返る羽目になった。やれやれ。

 

7.きみの鳥はうたえる

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柄本佑主演ということで気になっていた作品。夏休みにオールした時の朝五時ぐらいの倦怠感みたいなものがずっと漂っていた。バイト先が同じでひょんなことから寝てしまった佐知子と僕と、頼りなさそうだけど人の良い親友の静雄も加わって、まあ常に危ういバランスで三人仲良く飲んだくれたり遊んだりしている。適当で真剣になれないタイプの僕が最後に一歩踏み出したのが一夏の終わりを暗示していてすっきりした。光の当て方とそれによる色彩感が特に美しい映画だった。回想のなかにいるみたいな靄がかった青色の夜は観ていて切なかった。

 

8.犬神家の一族(1976年)

スケキヨとか湖から死体が足突き出してるあのシーンとかエッセンスは知っていたものの履修せずにきていた。ああいう巨大な一族の内紛みたいな話は好きなので楽しめた。殺人描写だけでなくて、いちいち佐兵衛の遺影のアップとか恐怖を助長するような演出が盛り沢山で子ども時代に観ていたらトラウマ必至だったな。佐清役のあおい輝彦と珠世役の島田陽子が美しくて、あの二人の短い逢瀬の切実さに胸が詰まってしまった。ミステリーとしてもだし、一編の映画として最高級のものだった。

 

9.めぐり逢う朝

軽く振り返ろうとしていたら止まらなくなってしまった映画第二弾。

サヴァールのガンバの音色と、ギョーム・ドパルデュー演じる若きマレがとりわけ素晴らしかった。

 

10.パターソン

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アダム・ドライバー演じる詩人でバス運転手の青年パターソンと彼の妻、飼い犬でブルドッグのマーヴィンの一週間のなんてことのない日々を描いた作品。毎朝決まった時間に起き、始業前には詩をノート(通称「秘密のノート」)に書き留める。夜はマーヴィンを連れて散歩に行き、馴染みのバーでビールを飲む。不倫の泥沼に巻き込まれたり世界を救う役目を任されることはなく、日々は淡々と過ぎていく。パターソンは水のように静かで、感情を露わにしない。周囲の物音や人々に注意を向け、観察者に務める。それでも、アメリのように内に豊かな世界を持っている彼の目を通して見た景色はとても美しい。

よく晴れた日曜の朝に窓辺に寝転んで日の光を浴びている時間のように贅沢で、とても愛おしい作品だった。

 

プライムなんかのおかげで旧作にアクセスしやすい環境がどんどん整っていく。来年も良いものに出会えますように。