森の入り口

本を読んだり映画を観たり音楽を聴いてどうにか人のかたちを保っています

夜を駆ける

5月に入って日中は日差しも強くて暖かくなり風は涼しくて気持ちが良いし、そろそろスピッツがちょうど良い季節だな、と思った。まあスピッツは年がら年中聴いているのだけど、旬の時期に聴くのは身体全体を使って曲を受容しているようで心地良いものがある。

昨日、スピッツを聴きたいなと思っていたら頭の中である楽曲の一節が繰り返し流れ始めた。しかし何という曲だったのかタイトルが一向に思い出せない。ただ、"笑ったり 泣いたり…"という歌詞だけは認識できたので、恥を忍んで検索したら一瞬で見つかった。本当は自分で思い出したかったのだ。曲が分かったらすっきりして、その日はずっとこの曲ばかり聴いていた。

笑ったり 泣いたり
あたり前の生活を
二人で過ごせば
羽も生える 最高だね!

夢追い虫/スピッツ

スピッツを聴いていたら、中学生の頃にKREVA草野マサムネがコラボした"くればいいのに"のCDを貸してくれたのをきっかけに仲良くなった先輩のことが思い出された。同じ部活の同性の先輩で、ある秋の土曜に突然メールが来て、やり取りをするようになった。何かのきっかけで互いにスピッツが好きだと分かって、その曲のCDを貸してくれた。それから次の年の春ぐらいまで、恐らく一番近しい間柄の人だった。ある時期においては、お互いの心が重なり合うかのように親しかったのだ。私が初めてスタバの抹茶クリームフラペチーノを飲んだのはその先輩と一緒に遊びに行った時だし、2人でカラオケに行った日のことはその後何年も大事に抱え込んだ思い出だった。普段は中学と高校で校舎が違うから、移動教室の隙間に姿を遠くから見かけると胸が焦がれそうだったし挨拶できると天に昇りたい気持ちになった。そんな10年以上前のことを強く思い出してしまい、久しぶりに先輩の顔を思い浮かべた。

そういうわけで、昨夜は久しぶりに夢にその先輩が出てきたから驚いた。何しろ今までなかなか見たい夢を見ることって出来なかったから。

多分この数日白泉社のアプリのマンガparkで無料公開されていた由貴香織里の『天使禁猟区』を読んだのも影響している。ちょうど同じ時期に私がはまっていた漫画だったから、当時の気持ちに近づいたのかもしれない。あらゆる厨二が考えつくモティーフの全てが詰まった恐ろしい漫画で、あまりに壮大な世界観はいまだに全貌を理解し切れていない気がする。これは3日で慌てて読む漫画ではないな。

 

似てない僕らは

細い糸でつながっている

よくある赤いやつじゃなく

(夜を駆ける/スピッツ)

その後高校を卒業してから、その先輩とは今までに3度会った。定期的に会うのでも連絡を取り合う関係でもないし、進路もまるで違っているのでもしかしたらもう会う機会も訪れないかもしれない。それでも私はスピッツを聴くと否応無しに引き戻される瞬間があるし、恐らくあの閉ざされた数ヶ月間を忘れないから、願わくばこの歌詞のようであってほしいと思ってしまう。